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今回の統一地方選で、大阪維新の会が公約の柱に掲げた都市制度論です。
大阪市や堺市を解体して、30万人規模の自治体として再編整備し、区長を選挙で選ぶもので、東京都のような特別区制度を導入しようとしています。
昨年秋には、別掲の区割り案なども公表されていますが、この区割り案で各区民の理解が得られるのかどうか?また、それぞれの合併した区が一つの自治体として財政面など健全に運営されるのかどうか?
区割りや自治制度を変えることで大阪が活性化するのか?市民にとってメリットがあるのかどうか?など充分な説明も行われていないのが現状です。
これらの制度変更に伴う住民基本台帳や固定資産台帳の変更や住所変更はお金のかかる話で、どういう形でこれらの経費を捻出するのか明らかになっていません。
あくまで「案」とのことですが、人口10万人の阿倍野区にとっては隣接区との合併は避けて通ることはできません。
つまりその時点で阿倍野区の歴史は幕を閉じるのです。
私は「文教地区」としての阿倍野区を堅持し、さらに発展させた形で子や孫に残していくことが、阿倍野区選出の市会議員の仕事であると考え、選挙期間中、一貫して訴えてまいりました。
大阪市内で「文教地区」と言われているのは阿倍野区と天王寺区の2区だけです。両区とも人口や面積に比べて学校の設置率が市内トップクラスで教育環境が整っているというのが「文教地区」と言われる大きな理由です。
私は無駄な経費を使わず大阪市という大都市の権限をフルに活用しながら住み良い街づくりを進めていくことが使命であると考えており、都構想には徹底的に抵抗し、区民の皆様のご意見を伺いながら阿倍野区存続のために全力投球する覚悟ですので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 近年の猛暑対策の一環として小中学校の一般教室へのクーラー設置が議論されています。3月予算委員会では市教委が「3年間、様々な角度から調査を行い、設置が必要かどうか判断する」と答弁しました。
この答弁を受けて、維新の会や公明党の多くの候補者が公約に掲げ、選挙を戦いました。
自民党はこの件に関しては慎重な立場を取っています。強いて言えば消極的な『条件付き賛成』と言ったほうが正解なのかもしれません。
クーラーの設置費用に約103億円、毎年の運用経費が約4億円。果たしてこれだけの巨額のお金を使うだけの効果が期待できるでしょうか?
いちばん暑い7月~8月は約40日間の夏休みが設けられており、夏休みの前後の1週間~10日間は短縮授業となっているからです。
私は短縮授業の廃止と夏休み期間を大幅に短縮して授業を行うのであれば前向きに検討したいと考えています。
現在、各小学校では屋外と教室内の気温や湿度を測定しており、学校によっては、様々な種類のカーテンを試行的に導入して室内温度の変化や効果について調査しているとのことです。
当然のことながら、熱中症対策も考えていかなければならずクーラーに頼るのではなく、大型扇風機の導入なども含めて議論を深めていきたいと思います。

中学校での給食についても多くの候補者が公約に掲げました。
小学校のような自校調理方式ではなく、給食調理センターを市内に数カ所建設してそこから給食を配給する方式を導入することを考えておられるようですが、センターの建設費に最低でも200億円が必要と言われています。
センターの建設箇所を少なくすれば経費は少なくなりますが、配送時間が長くなり、衛生管理上の問題も生じてきますし、調理保管設備の問題や各校での配膳要員の確保などの課題が多く残されています。
大阪市では、平成21年9月から業者弁当の配達事業を選択制で導入していますが、各校での喫食率が7%前後と10人に1人も利用しておらず、ほとんどが弁当持参で登校しているのが現状です。
社会経済情勢を考えた時、給食費という新たな負担を抱えてでも中学校での給食を求める保護者がどれだけいらっしゃるのか…。
きちんと精査して議論しないと無駄な投資になりかねません。
 * * *
このほか、「中学校卒業までの医療費無料化」など多額の財源が必要となる施策についても公約として掲げられており、すべてを実施することが本当に出来るのかどうか、極めて疑問です。
『二重行政の解消』「議員定数を削減」、「議員報酬を3割カット」「赤バスを廃止して地下鉄・バスを民営化」するなどして、費用が捻出できるというのであれば、その財源を示した上で、議論しないことには、一昨年の民主党の二の舞いになりかねません。
これらの公約に伴う皆様からの幅広いご意見を承りたく存じます。賛成・反対を問わず、遠慮なくご意見をお寄せいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。


4月10日に投開票が行われ
た統一地方選は橋下徹大阪府知事が代表をつとめる「大阪維新の会」が府会・市会ともに大躍進を納めました。
特に府会では109議席のうち過半数の57議席を獲得。市会でも過半数には届かなかったものの、33議席(定数86)を獲得し、堂々の第一党に躍進しました。
  阿倍野区でも府会1人、市会2人、維新の会の3人の新人が初当選。このため市会の重鎮だった大丸昭典氏(自・現)が涙を飲み、前回5票差で敗れ今回返り咲きを狙った小南薫氏(共・前)も議席を奪還することは出来ませんでした。
選挙結果は、別表の通り。維新の会の新人2人が維新旋風の追い風を受けて、得票を伸ばしたことが前回選挙との比較で明らかになりました。
そんな中、選挙期間中、一貫して「大阪都構想」に反対し、「阿倍野区の危機」を訴えた木下吉信氏(自・現)が得票を伸ばしたことも、今回の選挙の特徴です。
なお、阿倍野区の投票率は前回比4.37ポイント上昇したものの大正区に次いで2位という結果に終わり、平成19年の参院選から続いていた市内最高投票率の連勝記録「3」でストップしました。
  新しい任期が4月30日にスタートし、3カ月が経過しましたが、維新の会の新人議員の中には、今だに阿倍野区に住居を持たず、区外から通勤している議員がいたり、早くも『次の選挙にはでません』と不出馬を公言する議員いるなど、維新の会の政治モラルが問われる事態になっています。
今回の選挙結果を受けて、木下吉信氏(自・現)は「維新の会選出の議員に投票された区民の皆さんは大阪都構想の中身をきちんと理解されているのか疑問です。隣接区と合併して区長を選挙で選ぶことで私たちの生活がどれだけ良くなるのか?昨年公表された区割り案によると、阿倍野区は西成区、大正区と合併されることになっており、阿倍野区民にとってメリットはないと考えます。
私は阿倍野区選出議員として、この阿倍野区を『文教地区』としてさらに発展させ、子どもたちや孫の世代に住み良い街として残すために頑張りたいと思っています」と、改めて都構想反対を表明され、今後4年間の抱負を力強く語って下さいました。



木下議員は改選後の初議会が終わった6月上旬に被災地を訪問しました。以下はその視察レポートです。


6月2日から2泊3日で仙台市を訪問。特に被害の大きかった若林区を中心に被害の現状と復興に向けた取り組み等について視察しました。
今回の視察は、若林区選出の佐藤正昭仙台市議の案内で実現したもので、まず最初に仙台空港周辺を視察しました。







テレビで見た津波が押し寄せてくる生々しい映像は記憶に新しいところで、従前の空港施設は使えず、プレハブの仮設ターミナルで運用されており、臨時便しか発着できません。搭乗口が壊れているため、乗客は近隣の空港から借りたタラップ車で乗り降りしており、大阪市から提供された市バスが飛行機と仮設ターミナルとの間で乗客を運んで活躍していました。
空港周辺は宮城県名取市に位置していますが、街並みがすべて流されており到着後すぐに目にする光景としてはショックを隠せませんでした。
震災から3カ月が経とうとしているのに水たまりも多く、海水の異様なにおいが被害の大きさを物語っていました。
仙台市若林区では、佐藤議員の案内で東六郷小学校と荒浜小学校を視察しました。
特に荒浜小学校では1階教室に3台の車が押し込まれるように突っ込んでいて、改めて津波のすごさを感じました。地元の方の話では津波は押し寄せる波よりも海に戻る時の引き波の方が強く、時速60キロから80キロのスピードに達するとのことでした。
このあと、避難所となっている六郷市民センターを訪問。ここには子供を含めて約70人の被災者の皆さんが生活されており、約3カ月の避難生活の様々な苦労話などをお聞きすることが出来ました。
震災当日は避難所に指定されている学校が被災していたため、避難する場所もなく毛布にくるまって公園で一夜を明かしたそうです。
現在は避難生活も落ち着きを取り戻したものの、仮設住宅への移転をめぐって役所との間で交渉が重ねられており、それぞれの生活を取り戻すにはまだまだ時間がかかるとのことでした。



6月6日からは自民党市議団の6期生4人で視察団を編成、岩手県の釜石市を視察しました。
釜石市には、大阪市の復興支援の現場事務所が設けられており、危機管理室の職員が交代で常駐し、支援物資の調達や復興に向けたサポート業務を行っています。
視察団は、釜石市の佐々木重雄副市長を訪ね、現在の状況と今後の復興計画について意見交換を行いました。
釜石市役所も1階部分が被災したためシープラザ釜石という漁業センターに災害対策本部を設置し業務を行っています。
現在はガレキの撤去を中心に被災者の仮設住宅への移転や生活支援関連の相談を行っているとのことです。
肝心の復興に向けた取り組みについては津波や震災に対する対応策が国との間で具体化しておらず従前の居住地に家が建てられるかどうかも決められない状態で市民の不安は増大してきているということです。
普段、漁業関係者や鮮魚店などで賑わっている市内沿岸部の商店街も壊滅状態で、残っている建物も倒壊の危険があるとのことで、立ち入り制限がかけられており、まるでゴーストタウンのようでした。
また港内にも多くのガレキが沈んでおり、これらの撤去が完了しないことには船も入港できないとのことで漁業関係者も頭を悩ませていました。
カマボコなどの水産加工業の方に話を聞くと「海中のガレキを早く撤去して漁に出てくれないことには仕事がしたくても仕事にならない。この3ヶ月間ボンヤリ海を見てるだけや」とうらめしそうに港を眺めながら語って下さいました。
視察団はこのあと、同じ岩手県内の陸前髙田市役所と大槌町役場を視察しました。
ともに災害時の拠点となるべき役所が全壊しており現在は、仮設庁舎で業務を行っていますが、住民基本台帳などの住民情報がすべて流されたため安否の確認が充分に出来なかったということです。


「今回の視察で感じたことは、もし大阪市が被災したら、阿倍野区の各小中学校の避難所でそれぞれ何人規模の避難民を想定しているのか。備蓄している毛布や食料は足りるのか等、この機会に役所の危機管理意識を徹底させて、広く区民に情報を提供することが必要であると思いました。
被災された方々、一人ひとりにそれぞれの家族があり、生活があり、何よりも明日への希望や夢といった未来がありました。それらを一瞬にして奪い取ってしまった未曾有の震災。この惨状を見た時、この悪夢を教訓として生かさなければ、同じ過ちを繰り返しては犠牲となられた方々が報われない。
改めて犠牲となられた方々のご冥福を祈念し、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。」



6月3日、木下議員は仙台市役所を表敬訪問し、稲葉信義副市長に義援金を手渡しました。
この義援金は木下議員の後援会である木下会が中心となって震災直後から集めたもので総額は17万9439円でした。
選挙の関係で事前運動や事後の御礼行為にあたることから街頭での募金活動はできませんでしたが、事務所に設けられた募金箱には多くの区民の善意が寄せられました。
稲葉副市長との会談で木下議員は今後も復興支援に微力ながら全面協力することを約束したということです。
  ■稲葉副市長の話
「仙台市民は一時の絶望感から立ち直り、今では1日も早く元の生活を取り戻そうとがんばっています。官も民も力を合わせて復興に取り組んでいきますので、引き続きのご支援をよろしくお願いします」
なお、木下事務所では引き続き、義援金の募金箱を設置していますのでご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。


編集後記

震災から4カ月経っても復興に向けた具体的なビジョンが見えてきません。
今だにつづく東北地方の余震。先が見えない福島第一原発の不安。迷走する管政権も国民にとっては人災です。

維新の会の大躍進で幕を閉じた統一地方選。府議会では過半数の議席を有し定数削減の条例案が強行採決されるなどの議会運営が行われています。
議会は、行政のチェック機関として機能しなければならないのに、首長の言いなりになって過半数のパワーゲームが展開されると独裁政治の始まりです。
果たしてこれが維新の会に期待をして投票した有権者の民意なのでしょうか?